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紳士はフォックス ブラザーズに辿り着く

赤峰幸生×ダグラス・コルドー

Tuesday, April 2nd, 2019

スーツをエレガントに着こなす紳士は、必ずと言っていいほど生地を育てることを知っている。

生地を育てるとは、年月をかけて生地をゆっくり自分の身体に馴染ませていくことである。

それに最もふさわしい生地とされるのが、フランネルで有名な英国のフォックスブラザーズである。

 

 

photography jun udagawa  

 

(左)赤峰幸生/Yukio Akamine

1944年、東京都生まれ。90年、自身の会社インコントロを設立。98年、イタリア生産による紳士服ブランド「Y.Akamine」をスタート。2008年、カスタムクロージングのブランド「Akamine Royal Line」を立ち上げる。現在も大手アパレル、百貨店、セレクトショップなどのコンサルティングを手がけている。

 

(右)ダグラス・コルドー/Douglas Cordeaulx

1964年生まれ。15歳でTシャツをプリントして商売を始め、その後ペペジーンズでテキスタイルデザイナーとして17 年のキャリアを積む。2008年にフォックスブラザーズの経営権を取得。CEOに就任し、破綻寸前だった同社の経営を立て直しに成功。英国屈指のウェルドレッサーとしても名高い。

 

 

 

FOX BROTHERSとは?

軍服用のサージウールの織物工場として、英南西部サマセットのウェリントンにて1772年に創業。フランネルはその翌年から織られ始めた。当時とほとんど変わらぬレシピで織られ続けているそれは、世界の一流テーラーたちから絶対的な信頼を得ている。同社を代表する生地は、370~400g/mのクラシックフランネル。

 

 

 

 春はもうすぐそこだというのに、フランネルウールで有名な英国の名門フォックスブラザーズをフォーカスするのはTHE RAKEくらいだろう。ただ、これをお読みになっている皆さんはビスポークスーツの愛好家ばかりなので、今この時期にフランネルを紹介することは何らおかしなことではない。都内のビスポークテーラーや海外テーラーの来日トランクショーで今オーダーして秋に完成品を受け取るという流れは、むしろスタンダードであるといっていいだろう。一度仕立てたら10年、20年と付き合っていくことになるであろう一流のフランネルとは、そのくらいの心構えで向き合うべきなのだ。フォックスブラザーズのCEOダグラス・コルドー氏、フォックスブラザーズのフランネルとの付き合いは50年にもなるという赤峰幸生氏のふたりに、同名門ミルの生地の魅力はどこにあるのか、話を伺った。

 

赤峰 2008年にダグラスさんが入ってから、定番の生地コレクションに加えてシーズンごとに新しいコレクションを発表するようになり、時代に即したライトウェイトの生地も揃えて、コレクションのバランスが非常によくなりましたよね。それまでは定まったお客さんに定まった生地、定まった量を取引するという昔ながらのスタイルで何十年も続けてきたわけですが、新しいコレクションが足がかりとなって、フォックスブラザーズというミルそのものに興味を抱く人が増えてきたのではないでしょうか。

 

コルドー 幸いにもフォックスブラザーズには紹介してもしきれないほどの膨大なアーカイブが保管されているのですが、新しいコレクションはすべてそれらをベースにしてデザインされています。現在もテクニック的に可能な糸に置き換えたり、今日の気候やライフスタイルに合わせてライトウェイト化するなどアップデートさせてはいますが、デザインのベースにあるのは常に1772年からのヒストリーです。春夏向けのウーステッドは薄くライトウェイトであるにもかかわらず、芯があって張力もあります。その品質の素晴らしさを体感していただき、我々の根幹を成すフランネルへと入っていったお客様も多数いらっしゃいます。

 

赤峰 それに加え、ダグラスさん自身のスタイル・内面がそうであるように、新しい生地であってもフォックスブラザーズの生地は常にアンダーステートメントであるんです。決して目立ちすぎることがありません。

 

コルドー そういった意味では赤峰さんとの共通点はいろいろありますね。単に“伝統的な古さ”という意味ではなくて、私たちはクラシックを常にアップデートさせながら解釈しています。ただし、アップデートしていく中で、クラシックをどう捉えるべきか、本質を見失わないことを大切にしています。そういった点では必要以上に誇張したりせず、シンプルに捉えて控えめに打ち出していくという点で、私たちは非常に似ていると思います。

 

赤峰 服を着ることだけがアンダーステートメントになるのでなく、食も住も大切ですし、何より立ち居振る舞いがエレガントでなければいけません。でも今の世の中はアンバランスさに満ちている。そこをもっと正していくべきだと私は思うんです。ひとつの道をまっすぐに歩み続けていくことの大切さを忘れてはいけませんし、その役割をフォックスブラザーズは担っていると私は思います。ちなみに日本人の着ているものをダグラスさんの視線で見たとき、我々に何かアドバイスはありますか?

 

コルドー 私はさまざまな会社の方たちと仕事をさせてもらっていますが、日本人は本当に本当にプロフェッショナルで、尊敬に値する人たちが多いです。福田洋平さんの靴のこだわりにしても、テーラードのエレガンスにしても、特に東京にいる人たちの服装には大変刺激を受けます。むしろ私がコレクションを組む際の参考にさせてもらっているくらいです。

 

赤峰 今の20代、30代の間で、リアルなジェントルマンスタイルに興味をもっている人が増えています。そしてそれは中国や韓国にも波及していて、アジアの若者の間では、本国イギリスやイタリア以上にクラシックをしっかり着ようとしている人が増えています。そしてそれは、シンガポールやタイなど、東南アジアにも波及しています。

 

コルドー ビスポークやメイドトゥメジャーは日本だけでなくアジア全域で広がってきていますよね。多くのテーラーがアジアでトランクショーを開催していますし、スタイルセッターとしてはブリオベイジンのジョージ・ワン氏やアーモリーのマーク・チョー氏、アレン・シー氏などが先頭となって、シーンを牽引しています。彼らのフランネルスーツのエレガントな装いは、アジアのマーケットにおけるフォックスのフランネルの存在感を大いに高めてくれています。

 

赤峰 イタリアでも似たようなフィニッシュのフランネルがありますが、コシに欠けていて、私の中では何か物足りません。フォックスブラザーズのはコシがありながら硬すぎず、フニャッともしていない。アルデンテじゃないですけど、芯がある程度ありながらも反発力があるという、そこがフォックスブラザーズの凄いところだと思います。今日のスーツは25年も着ているので毛が抜けて白が立ってしまっていますが、それがいい味になっている。そしてこれと同じ生地を今も作り続けているところが素晴らしいですよね。同じ服を着ていても、今日のようにネクタイで今の気分を出せばいい。フォックスブラザーズのフランネルはそういう生地なんです。

 


 

2人がオススメする“フォックスブラザーズ”の

絶対的マスターピースBEST 3は?

フォックスブラザーズの名はよく耳にするが、実際にオーダーする際、狙うべき生地とは?

 

 

1.CLASSIC FLANNEL

フォックスブラザーズを代表する定番生地コレクション

フォックスブラザーズのフランネルを代表する永遠の定番生地が、このクラシックフランネルだ。抜群のコシを備えながら、決して硬すぎずソフトなタッチも備え、紳士のワードローブにふさわしいオーセンティックな色柄がラインナップされている。ふたりが特に注目してほしいとあげたのが、最もバランスのよい370~400g/m のウェイトによる、ややイエローがかったフォックスブラザーズ特有のミディアムグレイ無地、ネイビーチョークストライプ、グレンチェックの3つ。「最初は硬く重く感じられるかもしれませんが、2年、3年と着ていくうちに、生地が自分の身体に馴染んでいきます。そうなって初めて、この生地の真の魅力が味わえるのです」と赤峰氏。

 

 

 

2.HERITAGE FLANNEL

アーカイブから生まれた超ヘビーウェイトフランネル

1930年代のアーカイブからデザインを起こし、540~570g/mの超ヘビーウェイトの生地に織り上げたのが、ヘリテージフランネル。クラシックフランネル同様のオーセンティックな色柄が揃っているが、より肉厚でタフ。仕立てるなら3ピーススーツやダブルブレステッドを。

 

 

3.SOMERSET JACKETING

軽やかさと暖かみのある今日的解釈のジャケット地

サマセットジャケッティングは柔らかな風合いと暖かな雰囲気で昨今とても人気が高い、370~400gのミディアムウェイトによるジャケット地コレクション。オーセンティックなチェック柄を自然の色合いを取り入れながら現代的に表現した生地がラインナップされている。

 


FOX BROTHERS FOR GENTLEMEN

フォックス ブラザーズなら仕立て映えも抜群!

 

(左)MITSUKOSHI PREMIUM ORDER

最強のフランネルで仕立てられた日本製ビスポーク

マイケル・オールデン氏率いるロンドンラウンジが別注した、540~570g/mの超ヘビーウェイトの至高のフランネル。ジャケットが立つのではないかと思われるほどヘビーで、ヴィンテージのような圧倒的に高貴な貫禄を漂わせる一着。フランネルで仕立てられた3ピーススーツ。三越が抱える職人の手によるビスポークで、ブリティッシュ然とした仕立てが最高に凜とした表情だ。仮縫い込みで、納期は約3カ月。3ピーススーツ¥887,500~(オーダー価格)Mitsukoshi Premium Order/Nihombashi Mitsukoshi タイ¥28,000 Bryceland’s Co. シャツproperty of The Rake (お問い合わせ:日本橋三越本店TEL.03-3241-3311)

(右)AKAMINE ROYAL LINE

不変のエレガンスと呼ぶにふさわしい赤峰氏のスーツ

赤峰幸生氏が考えるアンダーステートメントなエレガンスを体現した、カスタムメイドライン。紳士にふさわしいグレンチェックのフランネルは、370~400g/mによる“クラシックフランネル”のもの。肩幅は広め、ゴージラインやボタン&ポケット位置を低くし、大人の風格を漂わせる。フィレンツェの仕立て服のようにフロントダーツを省いており、柄ものの見え方もすっきり美しい。氏自らがオフィスにて採寸・補正をしてくれるのも嬉しい。スーツ¥230,000~(オーダー価格)納期は約3カ月。Akamine Royal Line タイ¥28,000 Bryceland’s Co. シャツ、チーフproperty of The Rake (お問い合わせ:インコントロTEL.044-871-5330)

 

(左)LUCA GRASSIA

ミディアムウェイトのジャケット地をナポリの仕立てで

「The Wild Soul’s Elegance」を謳う、今注目のナポリの実力派サルトリア、ルカグラッシアの一着は、軽やかさの中にも土臭さがあり、マスキュリンな雰囲気に満ちている。生地は340~370g/mのミディアムウェイトで、コシがありながらも柔らかな膨らみを備えた人気のジャケット地“サマセットジャケッティング”のガンクラブチェックを使用。カントリーライクな着こなしで楽しむのでなく、黒のシャツで都会的に引き締めたスタイリングで楽しみたい一着だ。ジャケット¥380,000~(オーダー価格)Luca Grassia/Isetan Shinjuku シャツ、トラウザーズproperty of The Rake (お問い合わせ:伊勢丹新宿店TEL03-3352-1111)

(右)BRYCELAND’S CO.

ヴィンテージの雰囲気を漂せるフランネルの上下

イーサン・ニュートン氏率いる原宿のブライスランズの紺ジャケットは、肩幅を広く取り、着丈はやや短めで、ワイドラペル、それにナポリらしい仕立ての味付けが施された、独自のパターンによるダルクオーレの一着。トラウザーズは同じくナポリのアンブロージによるもので、こちらはハイウエストでゆったりしたシルエット。ともに370~400g/mの“クラシックフランネル”を用いている。ジャケット¥320,000~(オーダー価格)Bryceland’s Co. by Sartoria Dalcuoreシャツ¥20,000 Bryceland’s Co. トラウザーズ¥88,000 Ambrosi/all by Bryceland’s Co. タイproperty of The Rake  (お問い合わせ:ブライスランズTEL.03-6721-0133 )