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毎日乗れるフェラーリ

Ferrari GTC4Lusso T

Thursday, June 14th, 2018

 

 

 自他共に認める世界最高峰のスポーツカー・ブランド、フェラーリは、ひとくくりに“スーパースポーツ”というカテゴリーに属すると思われがちだが、少しフェラーリに詳しい人なら、そのラインナップが実にバラエティ豊かで、同じフェラーリでも、いろいろなフェラーリがあるということを知っているだろう。

 

 例えば、サーキット内でしか走れないフェラーリがある。F1マシンそのままのハイテクで武装したレーシング・フェラーリを駆って、本場からやって来たクルーとともに、タイムアタックを繰り返すマニアがいる。彼らにとって、フェラーリとは、ストイックな求道の対象だ。

 

 翻ってもっと気軽に、肩肘張らずにフェラーリを楽しみたいと思う人々もいる。フェラーリの持つエキサイティングな性能とラグジュアリーな雰囲気を、デイリーに楽しみたいと考えるファンたちだ。彼らのために開発されたのが、フェラーリGTC4Lussoシリーズである。4シーターで、大きなトランクを備え、イージーな運転性能を持つことが特徴だ。

 

 シリーズには2種類のクルマがラインナップされている。V12エンジンを積むGTC4LussoとV8エンジンのGTC4Lusso Tだ。今回紹介するのは後者のほうである。

 

 

 

 エクステリアは、ぱっと見、スポーツカーとステーションワゴンをドッキングさせたようなデザインである。シャープなフロントとマッシブなリアの対比が面白い。その存在感はフェラーリのラインナップ中随一だろう。これはシューティング・ブレークというカテゴリーで、その昔貴族が狩りで穫った獲物を運ぶために考え出された意匠だという。

 

 インテリアは、レーシーさとラグジュアリーさがミックスされた、フェラーリらしいもの。メカニカルなボタンがたくさんついたF1マシンを思わせるステアリングと、レザー張りのゴージャスなダッシュボードのミスマッチ・コンビネーションは、このブランドならではである。コクピットに座る人に、「ああ、俺はフェラーリに乗っているんだ」という深い満足感をもたらすだろう。

 

 

 

 4シーターの後席に乗り込んでみると、思った以上に広い。前席をやや前に出せば、大人でも悠々と脚を組める。ヘッドクリアランスも十分だ。グラスルーフ装着車なら、キャビンは“開放感溢れる”ものとなる。こんなフェラーリは他にない。逆に電動スイッチで助手席を後ろへ移動させれば、フェラーリ史上もっとも広々としたナビシートが現れる。GTC4Lusso Tは、史上もっとも女性ウケのいいフェラーリともいえるだろう。

 

 トランクも実用性十分。筆者の場合、大型クーラーボックス1個、大型ボストンバッグ2個、釣り竿数本を余裕で積み込んだ。1泊2日程度の家族旅行なら、何の不足もないだろう。ゴルフバッグはおろか、リアシートを倒せば、ショートサイズのサーフボードでさえ積載できるという。アクティブ派にはぴったりの一台である。

 

 

 

 往年のフェラーリには、その車高の低さゆえ、入れる駐車場やガソリンスタンドが限られるなど、購入を躊躇させる数々の恐怖の逸話があったが、現代のモダン・フェラーリは、そういった心配とは無縁である。

 

 市中での運転は、広い車幅さえ注意すれば、イージーそのもの。パーキングはバックカメラと誘導システムで簡単だし、段差のあるコイン・パーキングだってフツウに利用できる。ちょっと心配なときのために、車高調整システムもついている。

 

 

 

 

 V12エンジンを積むGTC4LussoとV8エンジンのGTC4Lusso Tを比べると、前者が重厚かつシンフォニックなサウンドを奏でるのに対し、後者は猛々しくアグレッシブな印象だ。重量差は50kgだが、ノーズ部分に偏重しているため、実重量以上の軽さを感じる。その実用性、そして価格まで鑑みれば、GTC4Lusso Tは、史上もっともカジュアルなフェラーリといえよう。

 

 とはいえ、このV8は凡百のエンジンとは一線を画する。ドロドロと回るアメリカンV8とはまるで別物だ。とにかく死ぬほど速い。そして素晴らしいスムースネスを誇る。一度アクセルを踏み込めば、全身の血が背中へ抜けていくような、別格の加速感を味わえる。

 

 たとえそれがまっすぐな高速道路で制限速度内でも、パドルシフトを駆使して高回転を保てば、その音とトルク感ゆえ、操る者に恐るべき快感をもたらす。運転の快楽とは絶対的なスピートではなく、相対的な感覚で得られることがわかる。助手席や後席で愛すべき人の寝顔を見つつ、気分はF1レーサーになれるのである。

 

 フェラーリGTC4Lusso Tは、日常と非日常の間を自由に行き来できる、魔法のマシンだといえよう。

 

 

 

全長×全幅×全高:4,922 × 1,980 × 1,383 mm

エンジン:V型8気筒 DOHC(4バルブ) ツインターボ

最高出力:449 kW(610 cv)/7,500 rpm

最高速度:320 km/h 以上

0-100km/h:3.5 秒

¥29,700,000〜 Ferrari