Ferrari Racing Days Fuji 2018

フェラーリという「文化」に触れられるイベント

Thursday, July 5th, 2018

text manabu kamata   photography ferrari Japan/unit kompas

 

 

 クルマほど、所有者のライフスタイルに深く関わり、時にそれを一変させてしまうほどの力を持つアイテムはないだろう。そして、様々なブランドがあれど、フェラーリほど、ピュアで強烈なアイデンティティを保ち続けている存在もまた珍しい。

 

 純粋な速さを標榜し、その実現の場をサーキットに求めたフェラーリは、これまで数え切れないほど多くの栄光を手にしてきた。戦いのフィールドで得られた最先端の技術やノウハウは、市販モデルにフィードバックされ、フェラーリユーザーと分かち合ってきた。ユーザーもまた、世界最高峰のレースに挑むブランドの姿勢を応援し続けている。ともに同じ情熱を共有する両者は、その絆を深めるイベントを長年大切にしている。世界各国でフェラーリが開催する「フェラーリ・レーシング・デイズ」がその最たるものだ。

 

 初夏のよく晴れた6月30日と7月1日の2日間、富士スピードウェイに500台のフェラーリと5000人にものぼるフェラーリオーナー、ファンが詰めかけ、恒例となっている「フェラーリ・レーシング・デイズ 富士2018」が盛大に開催された。創始者エンツォ・フェラーリの生誕120周年にあたる今年も、白熱したレースをはじめオーナーが気軽に参加できるサーキット走行、歴代F1マシンによる迫力のある走行、貴重なモデルの展示など盛りだくさんの内容で、フェラーリが紡ぐ情熱的で豊かな「文化」を参加者全員で共有する時間となった。

 

 

 

 会場にはさまざまな年代のフェラーリが一堂に会し、青空を背景に大パノラマを作り上げていた。また、各時代の象徴的なアイコンである「ラ・フェラーリ」や「エンツォ・フェラーリ」、「F40」、「F50」をはじめ、希少な「288 GTO」、「599 GTO」、「F12tdf」などのスーパーモデルたちによる豪華揃い踏みも見られた。どれも極めてコンディションが良く、それぞれのオーナーが注ぐ愛情の大きさが感じられた。

 

 

 

 常にハイレベルなレース活動を行うスーパーカーブランドらしく、イベントでは世界最高峰のワンメイクレース「フェラーリ・チャレンジ」のアジアパシフィックシリーズも開催され、マシンの迫力、激しいバトルに来場者の目は惹きつけられた。

 

 

 

 あらゆるメーカーが参戦、撤退を繰り広げる世界最高峰の自動車レース「F1」に、選手権の創設時から唯一参戦し続けるフェラーリ。その厳しいレースを戦い抜いた歴代のマシンによるサーキット走行が行われた。F1マシン特有の高回転サウンドが響き渡り、思わず耳を塞ぐ来場者の姿も見られた。しかし、どの顔も紅潮した笑顔になっていた。

 

 

 

 幸運なオーナーたちによるサーキット走行であるが、見事な走りっぷりと、複数台が絡んでのハイスピード走行を見せるなど、ファンに対するサービス精神も旺盛で、スタンドは大いに盛り上がった。

 

 

 

 マシンはそれぞれ一般のユーザーが所有するもので、フェラーリ本社のコルセ・クリエンティ部門が、マシンの格納から管理、輸送などをトータルで支援する。大半のスタッフは、マシンが現役時代にサービスを担当していたメカニックや技術者で、完璧な整備をしてオーナーのサーキット走行を支えている。マシンは常にハイパフォーマンスを発揮できる状態に維持され、スタッフ一同は世界中のサーキットで行われるイベントに同行するというこだわりようだ。

 

 

 

 数多くのスタッフが来日し、テスターを使ってデータ分析を行うなど万全のサポートを披露する。ピットの中は、まるでイタリアにでもいる雰囲気だ。

 

 

 

 サーキット専用モデルを購入したオーナーが、年間10戦ほどのフェラーリ公認レースを走行する「XXプログラム」。そのマシン「FXX」、「599XX」の姿も多く見られた。

 

 

 

 エンツォ・フェラーリの生誕120年を祝い、フェラーリの歴史を飾る名車の展示も行われた。マラネロでフルレストアしたばかりという、伝説のモデル「250GT TdF」はオリジナルカラーになってお披露目された。「275GT ベルリネッタ」など、往年の名車だけでなく、10台限定でリリースされた正規輸入50周年記念モデル「J50」も注目を集めていた。

 

 

 

 見応えのあるイベントであるが、何よりも印象に残ったのは、会場に漂う豊かさに満ちた雰囲気だ。プレステージブランドのイベントであるから、ある意味当然なのかもしれないが、同じ情熱を共有する者同士の親近感も心地よく感じられた。あちらこちらでオーナー同士が談笑を行い、また、レース終了後に友人のように語り合うワンメイクレースの参加者の姿を眺めていると、ヨーロッパの社交文化、乗馬文化に思いを馳せてしまう。参加者が「フェラーリ」という文化を共有できる貴重なイベントだった。